がん 子供への伝え方
私ががんと判明した時、子供たちにどのように伝えればいいか悩みました。母親ががんなんて聞いたら子供たちはどんな反応を示すのだろう。と。
私のがんが判明した時、長男は大学2年で県外で一人暮らし、次男は高校3年で卒業間近、三男は中学3年、こちらも卒業間近でした。
主人は遠く離れて生活している長男には言わないとしていました。離れているので、母親ががんと判りショックを受けたりしたらフォローしてあげれないという理由からです。
次男、三男については 一緒に生活をしているので話さない訳にはいきません。
そんなことを考えているある日
夕食の支度をしている私に父がいきなり大きな声でこう言ったのです。
「お前は胃がんか!胃がんは切ってしまえばいいからな!」
ちょうど、その場に三男がいました。
幸いにも、こたつでうたた寝をしていたようで話は聞こえてなかったようですが・・・。
この無神経な父の言葉にムッとしました。
その時は三男も同じ部屋にいることから無言でやり過ごしましたが、翌日、「私の病気の話は一切しないように、ましてや 子供たちの前ではがんの話はしないように!必要な人には自分で伝えるから」と、口止めしました。
何も聞かされていない時にいきなり母親ががんに罹っているなんて耳にしたら子供はきっと混乱してしまいます。
どうしようかと悩む日々。しかし、入院、手術の日は一日一日と近づいてきます。
入院までがんのことは伝えられず
結局、入院するまで癌ということは子供に伝えることが出来ず、入院の日を迎えてしまいました。
「明日、手術しなければいけないから 今日から入院してくるね。後のことはパパにお願いしてるから」
と、後のことは主人に託し・・・。
退院前に主治医から
入院してから手術と子供たちへ伝えることよりも自分の体の回復を第一に過ごしていました。
退院を間近に控え、主治医の先生よりこんな話がありました。
先生「子供さんには何と話をされましたか?」
私「なんとも・・・。どのように話をしたらいいのか・・・。」
先生「子供に話をできない親御さん、特にお父さんが話せない方が多いんですよ。お父さんの方から話しづらいようなら 私から子供さんに話をしましょうか」
私「ぜひ、お願いしたいです」
母親ががんだと主治医から子供に伝えてもらう
退院後、初めての診察の日。この日は抗がん剤を始めるための診察でした。
私は子供たちに先生から病状を説明してもらうべく診察室へ。
次男は仮卒業で学校はお休み、三男は学校でしたが、午後は早退させて病院へと連れて行きました。
そして、先生へ子供たちへ私の癌の話を伝えてもらうようにお願いしました。
・お母さんは胃がんという病気で胃を全部摘出してしまったこと
・胃がんのステージはⅣ
・今の医学では胃の再建はできないこと
・これから抗がん剤治療をはじめること
・抗がん剤治療中は家族の協力がとても大事なこと
・お母さんは入院中は子供たちの話ばかりしていて、あなたたちをとても愛していること
このようなことを冊子を見せたりしながら とてもやさしくお話してくださいました。
子供たちも真剣に先生の話に耳を傾けていました。
先生「最後に何か質問はありませんか?」
すると、三男が
「母の病気はどれくらいで治りますか?」
先生「5年!5年間何事もなければ治ったと思っていいでしょう。とにかく5年は病気が再発しないか診察を続けます」
私は先生が上手にがんの話を子供たちに伝えてくれたことに安堵し、診察室を後にしました。
がん 長男への伝え方
後は長男へはどのタイミングで伝えようかと思ってました。
主人や次男から長男へ少しは話が伝わっているとは思っていましたが、私から直接 話もしなきゃいけないだろうなと思いつつ・・・。
結局、きちんと私の口から説明できたのは、夏休みで帰省した時でした。
最後に会ったのは長男が成人式の1月。胃全摘手術前です。それから半年後、私は大きく変わり果てていました。
きっと、びっくりしたと思います。
抗がん剤治療中で一人で起き上がることもままならず、食事もとれなくやせ細った母親を見てどんな心境だったでしょう。
長男が帰省中の診察日、一緒に病院へと行きました。
診察までの待ち時間に待合室でこれまでにいきさつを話すことにしました。
胃がんのステージはⅣ、もし、再発したらきっと助からないかも。。。
下の子たちには話しづらいことも長男には全て知っておいてほしいという私の気持ちから話せることは全て話しました。
長男は聞き返すことも、質問することもなくただただ淡々と私の話を聞いていました。
長男に私から直接 病気の話が出来て 私は一安心しました。
その後、長男も他の子供たちも病気の内容には触れることなく過ごしています。
抗がん剤治療中は弱った私の介護を一生懸命やってくれました。
この記事へのコメントはありません。